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平成百物語

「悪魔に取り付かれた女」

 これは本当にあった話です。

 私の姉は横浜にある倉庫で事務員をしているのですが、ある日そこの所長さんにこんなことを言われたのです。

「最近雇った若者があまりいう事を聞いてくれないんだが、君が研修をしてやってくれないか?」

 その若者というのは荷物を倉庫や冷蔵庫などに運ぶ作業員で、姉は事務員。土俵が違うので教えられる事などないのでは?と最初は断ったのですが、所長さんが言うにはそういう問題ではないそうでした。さらに、

「美人の君が言えば彼も言う事を聞くはずだから」

 とよいしょされ、断るに断れず、その若者に会いに行く事にしました。そして、会ってみて驚きました。
 その若者は規則で禁止されているのに髪の毛を金髪に染め、仕事中だというのにタバコを吸いながらPSPでモンハンをやっていたのです。

(いう事を聞かないってこっち方面かよ……)

 とため息をつきながらも、所長に頼まれた手前、やらなければと思い、姉は精一杯の笑顔でその若者に言いました。

「ねえ、君。髪の毛は染めちゃいけないって知ってるよね?」

笑顔

 ところがその若者は、そんな姉にこう言ったのです。

「ああ!?うっせーよ、おばはん」 
「おば……!?」

 少し、ピキっときましたが、それでも姉は笑顔を崩さずに、その若者に言いました。

「し、仕事中にそんな事しちゃいけないんじゃないのかな?」

 ところがその若者は、29歳で婚期を逃した姉にこう言ったのです。

「うるせーよ。どっか行け、クソババア

 その時でした。姉の全身に電流が走り、体の自由が奪われたのは……そう、姉は悪魔にとりつかれたのです!!
 姉の体をのっとった悪魔はその若者に「じゃあ、この荷物をあそこの冷凍庫に運んでくれるかな?それをしてくれたらもう何も言わないから」と言ったのです。
 若者は舌打ちをして不承不承にその荷物を冷凍庫に運び込んだ……その時です!!

 姉は冷凍庫の扉を閉めて、外側から鍵をかけたのです!!なぜそんな事をしたか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 若者を-10℃の冷凍庫に閉じ込めると、姉は彼のPSPでモンハンを始めました。なぜか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 所長さんはそんな姉に何もいう事は出来ず、姉も冷凍庫の扉を必死に叩く音に全く耳を貸しませんでした。なぜか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 やがて、モンハンに飽きた1時間後、彼女はようやく冷凍庫の扉を開け、若者を中から出して上げました。涙も鼻水も糞尿さえも凍りついた若者は、泣きながら姉に何度も「すいません、すいません」と言ったのです。そして、姉はそんな彼に子供を諭すように笑顔で優しく言ったのです。

「おう、小僧。頭冷えたか?」

笑顔でその2

 しかし、その若者はそんな姉になぜか恐怖を覚えたそうです。それはなぜか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 今日はもう帰らせてください、という若者に、姉は彼の頬を優しく……かつ、激しくもスピーディーメリケンサックを装備した拳で何度も“ゴス!ゴス!”と撫でてあげました。そして、こう言ったのです。

「おめえ、若ぇんだろ!?だったら、甘えた事ぬかしてんじゃねえ!!」

 なぜ、そんな事をしたのか……それは悪魔がとりついていたからです!!

 さらに、「寝ぼけたぬかしてねえでとっとと働け。あと、明日までにスキンヘッドにしてこい」とも言いました。なぜか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 所長さんも見て見ぬふりをするしかありませんでした。それはなぜか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 警察も大した事情聴取をすることなく姉を釈放しました。それはなぜか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 若者はその日からとても従順になりました。それは悪魔がとりついていたからです!!

 この話を聞いてから私も姉には決して逆らわないようにしました。なぜか?それは悪魔がとりついていたからです!!

 悪魔は日常の至る所に潜んでいます。皆さんも気をつけて下さい。なお、この物語はフィクションであって欲しいです。

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テーマ : 短編小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

問道 火偉

Author:問道 火偉
年齢:死後3年と少し。
職業:オバケには学校も仕事もない。
趣味:その辺の人に憑依して小説を書く。これが本当のゴーストライター。

一言:この世には目には見えない闇の住人たちがいる。奴らは時として牙をむき、君たちを襲ってくる。私はそんな奴らから君たちを守るために、地獄のそこからやってきた正義の死者…………などではない。
 単なるアホです。お気軽にコメントして下さい。相互リンクも絶賛受付中。

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